みつるの読書部屋

いのち短し読書せよ大人!

『夜明けのブランデー』(池波正太郎/文春文庫) ― ホッとする骨休めエッセイ

前回がちょっぴり小難しかったので、池波正太郎先生のエッセイを読みました。3冊目です。

mougibook.hatenablog.com

 

 フランスに、入院に、

”ガンジー首相の暗殺”のことなどが書かれていたので、1984年頃書かれたと思われます。

『夜明けのブランデー』は、『江戸前 通の歳時記』や『日曜日の万年筆』によく書かれていた子供の頃や青年の頃の思い出話よりも”今”のことが多いです。

当時ハマっていた気学のこと、フランス旅行のこと、絵画のこと、様々な映画(洋画)のこと、気管支炎を患い入院したことなどなと。

 

印象的だったのは、「女中」や「裏日本」などの言葉が差別的だと言われるようになったと書かれていたこと。1980年代半ばはそういう声が上がってきた時期だったのですね。

あと、黒澤明監督の『乱』の試写を見て、結構なツッコミを入れていました。

 

池波正太郎先生は、還暦過ぎに気管支炎を患って初めて入院したそうで、それ以前は日付が変わった後から仕事していましたが、退院後は早く寝るようになり、仕事を始めていた時間帯には就寝するようになったそうです。

長年真夜中に仕事をしていたようですけど、お年のせいか、病後の体力低下のせいか、生活リズムはかなり変わったようです。

 

気学やフランス、絵画や洋画など、興味は湧いても普段なかなか見られない世界なので、週末お茶を飲みながら読むのになかなか良い本でした。 

新装版 夜明けのブランデー (文春文庫)

新装版 夜明けのブランデー (文春文庫)

 

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目次

夏去りぬ/ブニュエル監督の遺作/某月某日/オランダの裃/煙草/某月某日/万年筆/ガンジー首相の星/シモネ老人の指輪/永倉新八と映画/帽子/某月某日/ルノワールの言葉/年末の或る日に……/両側舞台と両面舞台/某月某日/秘密/田中冬二の世界/記憶と連想/題名について/酒/時間について(一)/時間について(二)日本一の……/コレクション/傷/バッグ/車椅子/食日記/十年前/名刺/某月某日/ヘア・トニック/殺陣/職業/ユリトロと、その母/某月某日/初夏の或る日に/[ファニーとアレクサンデル]の一日/紙・石鹸・水