みつるの読書部屋

いのち短し読書せよ大人!

『福翁自伝』(福沢諭吉/角川ソフィア文庫) ― さすが一万円札さん

こんばんは、扇町みつるです。

このブログの一番最初の記事で紹介した『大人のための読書の全技術』(齋藤孝/KADOKAWA)の最終章で齋藤先生おすすめの書籍がいくつか紹介されていまして、その中に『福翁自伝』や『現代語訳 学問のすすめ』がありました。

mougibook.hatenablog.com

 

今回、『福翁自伝』を読みましたが、今年の始めに『現代語訳 学問のすすめ』も読みました。
  

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

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福沢諭吉といえば?

福沢諭吉というと、なぜか一番先に思い出すのが桃屋のCMです。子供の頃だったかな、かなり前にやったコマーシャルであの有名な「天は人の上に人を造らず」のフレーズが三木のり平さんの声で語られていて、あの桃屋キャラが着物を着ていて福沢諭吉っぽい格好をしていたんです。

調べてみたら、「福沢諭吉編」が1985年に放送されていました。子供の頃でした。

youtu.be

いい大人になってからもずっとこの桃屋のCMの印象しかなく、それ以上の知識は入ってきてなかった状態でした。

あ、CM以外にもありました。お札です、一万円札。

物心ついた頃、生まれて初めてお年玉というものを貰った時はまだ聖徳太子の一万円札の頃でして、五千円札も聖徳太子、千円札は伊藤博文、当時まだあった五百円札は岩倉具視でした。しかし、その時はまだ小さかったというのと大して裕福でもなかったのもあり、残念ながら聖徳太子へのお目通りは叶わず。一万円札を手にすることが出来たのは福沢諭吉になってからでした。

なので、福沢諭吉というとCMと並んで一万円札が浮かびます。

 

お札とCM以外にとんとアップデートされずにいい年になってしまいましたが、今更ながらも読書の導きで『福翁自伝』や『学問のすすめ』に出会い、よっしゃ読んでみるかと一念発起。

学の無いおばちゃんには難しいかなと思いながらも、そこそこ読めました。

 

福翁自伝

『福翁自伝』はその名の通り福沢諭吉の自伝です。福沢諭吉の口述を文字起こししたものなので、本人の言葉遣いもそのまま文字になっていて、話を聞いているように読めました。

貧乏だった幼少時代、長崎遊学時代、大坂の適塾時代、海外視察、維新、暗殺に怯えた日々などなど、本書が書かれた60歳頃までのことが書かれています。

 

面白いと感じたのが適塾時代のやんちゃをしながらもガッツリ勉強したあたりです。終わりの方とはいえまだ江戸時代だったので、近代の学校制度はまだありませんでしたが、塾の人たちと酒を飲んだり、飲み屋から徳利などを持って来てしまったり、反面、外国語の原書を必死に翻訳したりする姿は少し前の大学生のようでした。

 

下々の民まで独立の気風を持つべしと語るあたりは『学問のすすめ』と少し被っていますが、『学問のすすめ』で書かれていなくて本書で語られていたのは家庭に関することです。

子育てに関しては、食べ物や健康に気をつけることを第一とし、勉強を無理強いするということもしなかったようです。

息子たちが海外留学したときも、

「留学中手紙は毎便必ず出せ、用がないなら用がないといってよこせ、また学問を勉強して半死半生の色の青い大学者になって帰ってくるより、筋骨たくましき無学文盲なものになって帰ってこい、そのほうがよほどよろこばしい。かりそめにも無法なことをして勉強しすぎるな。倹約はどこまでも倹約しろ。けれども健康にかかわるというほどの病気かなにかのことにつき、金しだいでどうにでもなるということならば思い切って金を使え、少しもかまわぬから」

健康第一、基本は倹約だけど健康が脅かされるようなことがあったら思い切って金を使えと言っています。

ドライなところはあったようですが、家族への情は厚い人だったのだなと思いました。

さすが、一万円札になるだけのことはありますね。

 

『福翁自伝』にも『学問のすすめ』にも、今現在にも通じる色々な大事なことが書かれています。未読の方にはぜひおすすめです!

  

新版 福翁自伝 (角川ソフィア文庫)

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目次
はじめに/凡例/初版序
 
幼少の時
長崎遊学
大坂修業
緒方の塾風
大坂を去って江戸に行く
初めてアメリカに渡る
ヨーロッパ各国に行く
攘夷論
再度アメリカ行
王政維新
暗殺の心配
雑記
一身一家経済の由来
品行家風
老余の半生
 
注釈/福沢諭吉年譜/新訂版の刊行に際して(旧版)
解説