みつるの読書部屋

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『江戸前 通の歳時記』(池波正太郎/集英社文庫) ― 飯テロエッセイ

こんばんは、扇町みつるです。

私の「鬼平」

池波正太郎、というと鬼平犯科帳の長谷川平蔵(中村吉右衛門)が思い浮かびます。池波先生ご本人の顔ではなく、中村吉右衛門丈なんですよね。

 小鍋立て

それも致し方無いというか、『鬼平犯科帳』にせよ『剣客商売』にせよ、映像でしか見たことがありません…。原作の小説はまだ読んだことがありません。言い訳になってしまいますが、『鬼平犯科帳』だと文庫本で全24巻。先は長いです。

小説はおいおい読んでいくとして、池波正太郎は大の食通である。というのは私でも聞いたことのある話で、かつてmixiが全盛期の頃、mixiで繋がっていた歌舞伎好きの通なおじいちゃんがよく”小鍋立て”で夕食をとっていたのを日記に書いていて、それが池波正太郎由来のものだったそうです。

 

その小鍋立てのことが載っていたのが『江戸前 通の歳時記』(池波正太郎/集英社文庫)です。

池波正太郎は小説の他に数多くのエッセイも書いていますが、その中から食に関するエッセイを集めたのが本書です。「食の歳時記」と称して1月から12月までの各月の美味しいものや、東京の下町で過ごした子供時代のエピソード、はたまた小説における食事シーンについてなどが書かれています。

本書に登場する食べ物は、活字にも関わらず本当においしそうで、一編一編が短いので、夜のリラックスタイムに読むことが多いのですが、お腹がすいてしまうこともしばしば。

料理屋で食べるのもそうですが、自身で料理して食べることもあり、食へのこだわりが強く感じられました。

人間は、生まれると同時に、確実に[死]へ向かって歩みはじめる。その[死]への道程をつつがなく歩みきるために、動物は食べねばならぬ。
これほどの矛盾があるだろうか。

戦前には旬のものを食べ、戦中戦後は食べることが困難だった時代を経たからこそ、言い切れるのだと思いました。

 

江戸前 通の歳時記 (集英社文庫 い)

江戸前 通の歳時記 (集英社文庫 い)

 

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