みつるの読書部屋

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『宦官 側近政治の構造』(三田村泰助/中公新書) ― 王朝に仕えた異形の秘書

こんばんは、扇町みつるです。

『蒼穹の昴』(浅田次郎/講談社文庫)と並行してちまちま読んでいたのが『宦官  側近政治の構造』(三田村泰助/中公新書)でした。『蒼穹の昴』には宦官が登場するからです。 

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 宦官のあれこれ

宦官とは、後宮に仕える去勢された男性のことです。現在はいません。

大昔、貧しい家に生まれ、少しでも身を立てるために自宮(自らの意思で去勢すること)して王朝に仕えたり、または罪に問われたときに課せられた刑(宮刑)によってはからずも去勢させられたりということがありました。

 

本書はそんな宦官について書かれています。

第一章では宦官の起源や去勢の方法、宮刑や宦官を輩出する地域について書かれています。第二章では宦官が仕える後宮の、后妃に関することや宦官の職務について。

第三章では漢代の宦官について。第四章では唐代の宦官について。第五章では明代の宦官について書かれています。

そして終章では、「宦官はなぜ日本に存在しなかったか」「現代における宦官的存在」で締められています。

 

男性の方はちょっと背筋が震えるかもしれませんが、中国などの王朝で裏から世を動かした宦官について覗いてみてもいいかもしれませんよ。

宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)

宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)

 
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目次
まえがき
第一章 つくられた第三の性
宦官、この不可解なるもの/宦官の起源/去勢の仕方/宦官の生態/宦官の存在理由/君主の影、宦官/宦官の供給源/宮刑/宦官の特産地/宦官志望者の氾濫
 
第二章 後宮の住人
百二十二人の后妃/一セットの婚姻制/恐妻家の誕生/紫禁城の内奥/宦官の職務/敬事房太監/横行する女官/宦官夫婦/宦官の末路
 
第三章 帝国を滅ぼした二つの側近 ――前漢・後漢
宦官に膝枕する皇帝/妄執の母后/秘書の元祖、司馬遷/皇后になった宦官の娘/宦官組織の結成/皇帝と大臣の間/外戚と宦官/善意の悲劇/任侠な宦官/宦官時代
 
第四章 女禍と宦官 ――唐
美と背徳の都、長安/新しい型の名君/空前絶後の女性/玄宗と高力士/近衛兵の掌握/初の宦官宰相/皇帝弑逆/宦官の君主観
 
第五章 官僚と宦官 ――明
独裁君主の代行者/失敗した宦官抑制策/宦官学校/影の内閣/清流と濁流/宦官党の制覇/最後の宦官
 
終章1 宦官はなぜ日本に存在しなかったか
終章2 現代における宦官的存在
 
中国史略年表