『花のれん』(山崎豊子/新潮文庫) ― 上方お笑い界の基礎を作った女太閤
こんばんは、扇町みつるです。
朝ドラ、小説
2017年下半期に放送された連続テレビ小説「わろてんか」は、吉本興業創立者の吉本せいがモデルでした。
かなりのやり手な女性だったそうですが、朝ドラでは見事なふんわりヒロインになっていました。朝ドラのアレンジ力は大したものだと思いました。
しかし、朝ドラよりも60年近く前に吉本せいがモデルとなった小説が出版されていました。
『花のれん』(山崎豊子/新潮文庫)です。実は、「わろてんか」放送中に本書を購入してたのですがずーっと積読で、この2日間ほどで一気に読みました。
明治〜昭和初期の大阪
吉本せいは1889(明治22)年生まれ、没年は1950(昭和25)年なので『花のれん』の作中では明治、大正、昭和初期の大阪の街の様子が描かれています。
小説が発表されたのは1958(昭和33)年なので、数年前まで本人が生きていたとしても、既に太平洋戦争が終わって10年以上経ち、大阪の街の様子もかなり変わっていたでしょう。
山崎豊子先生の取材力なのでしょうね。
道楽夫に先立たれた女丈夫
どの部分かまでは調べていませんが、実話に基づきながらもアレンジもある程度加えているのかと思います。夫に先立たれた多加は夫の残した寄席を大きくすべく奮闘します。
そして何軒もの寄席のオーナーとなっていくのですが、実ることのない淡い恋心もありました。
朝ドラほどのふんわりではありませんが、実話よりはソフトに描かれているでしょう。
終盤、息子のくだりはどう描かれているのかな〜と思いましたが、その辺は描かれませんでした。興味がある方はググッてみてください。そっちはそっちで小説1本書けそうですからね。
ここのところ小説はご無沙汰だったので、楽しく一気に読めました。
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