『蒼穹の昴』(浅田次郎/講談社文庫) ― あなたの西太后は、どこから?
こんばんは、扇町みつるです。
映画「西太后」との出会い
私が西太后という人物を知ったのは小学生の時。1985年の映画『西太后』が公開された時でした。
といっても劇場で見たわけではなく、テレビの予告か何かで壺に入れられ不気味に笑う女性が強烈に印象に残り、何とも言えないゾクゾク感を小学校で熱く語っていた時期がありました。
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あまりに熱く語ったせいかわからないけど、同じクラスの男子がちょうど同年に公開されていた映画『死霊のはらわた』のパンフレットを持ってきてくれたんだけど、いやいや、そんなんじゃなくてさ、なんて多分その段階ではタイトルさえろくすっぽ把握していなかっただろうに、壺に入れられた女の人だよ、なんて言っていたのは記憶にあります。
全部見たのはそれからしばらくして、テレビで放送された時だったと思います。今ではもう(内容的な意味で)地上波で見るのは無理でしょうね。
もちろんその時は中国の歴史とか、清王朝とか、そんなことはまだ分かっておらず、数年後の映画「火龍」公開まで待つことになります。この時はしっかり映画館で見てパンフレットに書かれていた清王朝の家系図を見て皇帝の名前を覚えました。
ちなみにジョン・ローンの「ラスト・エンペラー」はもう少し後の公開。
そんな訳で、西太后という人物には子供の頃から興味がありました。そんなに興味あったのに、発売すぐに読まなかったのかよとツッコミが入りそうな小説、それが『蒼穹の昴』です。
まあ、読書はそんなにしてこなかったので…「但し映像作品に限る」ってやつです。
ドラマ、そして小説「蒼穹の昴」
そんなこんなで『蒼穹の昴』は2010年に放送された日中合作のドラマで見ました。西太后役に田中裕子さん、その他、日本人の役は日本の俳優さんが演じ、あとはみな中国の俳優さんが演じました。
映像で一回見ているので、今回原作となった小説を読んだとき、あ、このシーンあったわ、などと思いながら読めたのでストーリーはわりと簡単に掴めました。
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ここまで映画とドラマの話しかしてない;;
『蒼穹の昴』は、ラストエンペラー溥儀の一代前の光緒帝の御代、貧困の中で生きる春児(チュンル)と科挙に合格した地元の名士の息子梁文秀がそれぞれの形で紫禁城に上がり、西太后や皇帝に仕え、二人はそれぞれの立場で戊戌の政変に巻き込まれていきます。
冒頭で書いた映画などの影響で、とても不気味な女性というイメージで固まっていた西太后は、この作品ではとても人間的に描かれています。時には癇癪を起こすこともあるけれど、西太后もまた、激動の時代に翻弄された一人の女性となっています。
文庫本で4巻までありますけど、第4巻はノンストップで読みました。
とても有名な作品なので既に読んだという方も多いと思いますが、列強が虎視眈々と国土を狙う清朝末期という時代も面白いですし、まだの方は一度ぜひ、既読の方も久しぶりに読んでみると面白いかと思います。
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